証券会社に興味があります。でも、これからどうなるの?将来性はないって噂も聞くけど本当なの?ぼくでも分かるように、納得できるように、分かり易く教えて下さい。
本日はこんな疑問に答えていきます。
大手証券会社のシステム子会社に17年勤務。そのうちの5年間は、親会社の営業企画部門に出向。
業界全体、会社全体、施策全般に携わってきました。
そんなわたしが、証券会社の将来性について解説します。結論から言うと将来性はあります!
ただ、激動の変化も間違いなくあります!
就活生の方の業界研究に、役に立つ内容になっています!ご一読をお願いします。
【関連まとめ記事】証券会社への就職対策完全ガイドをご用意しています。よろしければ、あわせてお読み下さい!
証券会社の将来性は、まだまだある理由
「貯蓄から投資へ」が、まだ進んでいないから
そもそも、「貯蓄」と「投資」の違いってなんだろう?
貯蓄とは、お金を蓄えることです。銀行であれば、普通預金や定期預金に資金を預けるのが一般的。大きく増やすことはできませんが、家計の基本であり、元本を確保しながら安全に資産形成ができます。
一方、投資は、将来有望な投資先に長期的に資金を投じることです。一般には、株式や投資信託、債券、外貨建て商品などの投資商品を購入することを意味します。元本は保証されませんが、貯蓄より大きく増えることが期待できます。上手に資産形成に取り入れることで、インフレ対策にもなります。
出典:全国銀行協会 Q.「貯蓄」と「投資」はどう使い分けるのですか?
経済活動に活用されるかの観点で考えると、こんな違いが。。
- 貯蓄・・・銀行が企業に貸し出さなければ経済活動に使われない
- 投資・・・企業に直接お金が渡り、経済活動に使われる
「間接金融」と「直接金融」って言い方でも区別されますね。
そこで、経済を活性化する使命を持つ金融庁の登場!
10年以上前から、「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、各種施策を進めています。例えば、こんなことをしている。
国民の安定的な資産形成に向けた取組
教育現場を含む関係者と連携しながら、金融リテラシー向上に向けた取組を推進
NISA制度の普及・改善に向けた検討(長期・積立・分散投資を定着させるため、つみたてNISAを積極的に普及)
出典:「成長戦略(2019年)」(令和元年6月21日閣議決定)における金融庁関連の主要施策
でも、これが、まだまだ進んでいない。
貯蓄から投資に流れていないお金ってどれくらいあるの?
これ、正確に答えられる人は少ないはず。はい。わたしも調べてみました。日本人の金融資産の内訳です。単位:兆円
金融資産計:1,903兆円 (100.0%)
出典:参考図表2019年第4四半期の資金循環(速報) 日本銀行調査統計局 2020年3月18日
現金・預金:1,008兆円(52.9%)
債務証券:26兆円(1.4%)
投資信託:74兆円(3.9%)
株式等:211兆円(11.1%)
保険・年金・定型保証:528兆円(27.8%)
その他:56兆円(2.9%)
約1,000兆円、半分以上が貯蓄。投資、つまり、株式、債券、投信は、全部合わせても、約300兆円。
さらに、この比率は10年以上、ほとんど、変わっていない。まだ進んでいない。だからこそ、証券会社には、将来性がある!
一部の有価証券は、銀行などでも取り扱えるけど、フルラインナップで、幅広く取り扱えるのは証券会社のみ。法律でそう決まっているから。
じゃあ、今後、「貯蓄から投資へ」が進んでいく理由を次の章で説明します。
子育て終了世代がリタイア
先ほど説明した金融資産のうち、約6割を退職世代が保有しています。
退職世代等が家計金融資産の6割を保有
出典:金融庁 平成29事務年度 金融行政方針 概要 平成29年11月
退職世代等の様々な状況を踏まえ、金融資産の運用・取崩しをどのように行い、幸せな老後につなげていくか、金融業はどのような貢献ができるのか検討
いままで、仕事と貯蓄に励んでいた退職世代。心に余裕ができます。証券会社の営業員の話しを聞きます。
そして、次の事実を知ることになります。
資産を守って増やすには分散投資が必要
まず、金融資産の全てが銀行預金の人は、この事実を改めて知ることになる。
- 銀行が倒産したら、資産を失う
- 正確には、ペイオフという制度で、1,000万円だけ保障されてる
- 銀行預金、特に普通預金は、利子ゼロ
- 将来的には口座管理手数料を取られる可能性もある
銀行以外にも、経営が安定している会社は、世の中に多く存在する。でも、自分が、たまたま選んだ銀行に、長期間、全資産を預けている。
例えば、1,000万円のうち、100万円だけでも。利率1%の社債で運用すれば、1万円の利子を生む。この機会をミスミス逃していた。
もちろん、手数料や税金はかかる。でもそんな面倒な計算を証券会社がやってくれる。
資産が多い人ほど、資産を分散させる。株式、債券、日本円、外貨預金。なぜなら、どれかの価値が下がった時、最悪ゼロになった時に全資産を失わないため。
資産をどのように分散すると、長期的にお金を増やせるか。失わないか。その助言をすることが証券会社に求められる。
さらに、富裕層が好む、複雑な仕組みの債券、オーダーメイド型の商品。これらは証券会社にしか扱えない。法律で決まってる。
証券会社に将来おとずれる5つの変化
手数料収入からアドバイザリー収入へ
これまでの営業スタイルは、こうだった。
証券の売買の度に、売買金額の数パーセントを売買手数料として受け取る。
今後、こうなる。
証券の預り資産の総額の数パーセントを、年間助言料として受け取る。逆に、売買の度に手数料を受け取らない。
証券大手各社は、既に、それに取り組み始めている。わたしが大手証券会社にいる時、まさに変えようとしている時だった。
既に説明した通り。分散投資と長期運用により、確実にお客さまの資産を守って、増やすことが求められる。
これまでのように、個別商品、特に、手数料の高い投資信託を商品決め打ちで販売する営業は通用しない。
自分のおすすめの株だけ売るのも、もってのほか・・・
そして、お客さまが自分ではできないことをしてあげる必要がある。こんな知識が必要になる。
- さまざまな商品について詳しい正確な知識
- 税金の制度、節税対策の知識
- 不動産、保険など、有価証券以外の基本的な知識
- お客さまの営む事業の基本的な知識
- お客さまが経営する会社の会計の知識
銀行との連携が加速
これももちろん進む。なぜなら、日本の半分以上のお金があるのは、銀行だから。。約1,000兆円。
メガバンク系列の証券。三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、SMBC日興証券、銀行預金の取り込みを優位に進めるだろう。
逆に、野村證券は、地銀の囲い込み戦略を強化している。大和証券はネット銀行を作り強化している。
わたしは、メガバンク系列の大手証券会社に勤務していた。猛烈に銀行連携に力を入れていた。
証券会社のシステムから、銀行の預金残高を確認できるようにしたのも、1つの施策だった。
あとは、人事交流施策を常にやっている。わたしが所属していた営業企画部門は、トップである常務含めて、半分くらいが銀行からの出向者。
そして、営業員も、数百名単位で、互いに出向させている。銀行から証券へ。証券から銀行へ。
証券から銀行へ出向している人の役割。ミッション。それはもちろん、証券会社に富裕層を紹介すること。
この流れは、「貯蓄から投資へ」のお金が流れ終わらない限りは続く。要するに終わらない。。
オンライン営業の普及…でも対面営業はなくならない
コロナウィルスの影響で既に始まってるけど、お客さまに直接会えなくなるので、オンラインでの営業が普及していく。
各社今後、WEB上で、営業員とお客さまが、コミュニケーションするサービスを導入していく。
ネット上に仮想ブースを作って、そこにお客さま誘うようになる。
契約に必要な書類も、電子化が進む。印鑑レスも進む。
とはいえ、対面営業、客先訪問はなくならない。自分の親、まさにリタイヤ世代を見てれば一目瞭然。
会って話しも聞かずに、数千万円の契約なんてできない。
個別売買の依頼や問い合わせは、オンラインで完結していく。でも、初回契約あるいは、大口顧客への定期的な運用報告は、対面が復活する。
会社員からIFAへ
IFAは、“Independent Financial Advisor”の略。「独立系ファイナンシャルアドバイザー」とも呼ばれる。
これは、既に投資大国のアメリカで確立している。日本でも既に、楽天証券などが、開始している。
特にアメリカでは、超高額報酬の人ほど、IFAとして独立している。
と言っても、飲食店やシステムエンジニアとは違い。。金融商品取引業は、個人が独立してできるものじゃない。
例えばこれらは、証券会社にしか認められていない。
- 取引所への発注
- 法令遵守のための説明書類の作成と審査
- 金融資産を預かること
なので、証券会社にしかできないことは証券会社がやる。そして、IFAは、資産アドバイス、営業に注力する。
個人の成果報酬を確実に受け取る。会社員のように、会社の業績に引きずられることがない。
独立しているので、IFAは楽天証券がなくなっても、生き残る道がある。
優秀な人ほど、この道を選ぶようなっていく。
業界再編はいつか起きる
大手4社とも5社とも言われるけど。。基本的に、総合証券と言われる会社は、同じことをやっている。
営業、トレーディング、リサーチ、投資銀行。全部、丸かぶりしている。売ってるものも、投信以外は、大差ない。
つまり、、2社が合併するだけで。。本社系機能、事務もシステムも、1つにできる。無駄がなくなる。こんな状態が続いている。
ということで、業界の再編はいつか起こる。。当然その時に、鍵を握るのは、メガバンク。メガバンクの再編と同時に起きるかもしれない。
申し訳ないけど、、わたしも全く予想ができない・・・
証券会社に就職する時に気をつける5つのこと
最後になります。意外とこのことを知らないで、入社してくる人がいます。ということを5点。
- 証券知識が身につかない部署に配属される可能性がある
- 最速で出世したいなら営業経験は避けられない
- 営業は向き不向きがはっきり分かれる
- 必要な資格は証券外務員だけじゃない
- リストラされる可能性がある
1.証券知識が身につかない部署に配属される可能性がある
総合職採用で入社直後は大丈夫でしょうが。。
そのうち、人事部、総務部、システム部など、あまり証券業務とは関係ない部署に異動させられることもあります。
営業職からシステム部に異動になって、辞めていった後輩がいました。まあ、そうですよね・・・
2.最速で出世したいなら営業経験は避けられない
出世する人は、基本、トップセールスです。証券会社。営業が中心の世界。そして、営業は数字が全て。
わたしは、営業企画部門にいました。部長、副部長、課長、全員元トップセールス。元支店長経験者です。
3.営業は向き不向きがはっきり分かれる
最近、高学歴で、証券営業職に就く人がいます。。
全く向いてなくて辞めていく人が多いです。証券営業は、人とコミュニケーションをとり続ける仕事!
電話、訪問、飛び込み営業、若手時代は、この量が全て。勉強が好き。研究が好き。計算が得意で好き。向いてない。。
4.必要な資格は証券外務員だけじゃない
証券外務員だけあればよかったのは昔の時代。証券外務員は単なる免許証。他にも、こんな資格がないと助言業務はできません。
- 証券アナリスト
- ファイナンシャルアドバイザー
- 簿記
5.リストラされる可能性がある
いまの状況が続くと、早期退職を募る可能性があります。業界再編が起きた場合も、もちろんです。
早期退職に応募しなければいいのでは?そんなに甘くないです。応じない場合は、異動させられます。ぶっちゃけ、、半強制です。
これを覚悟した上で、早く業界全般に通じるスキルと知識を身につけておく必要があります。
では、以上となります。
就活生のみなさん、大変な状況ですが、ご健闘をお祈りしております!
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- 証券会社の基本的な業務を理解
- 証券会社が社会に果たす役割を理解
- 大手証券会社の各社の特徴、本社の仕事を理解
- 証券会社の営業の仕事と変化を理解
【就職へのSTEP②】証券会社の将来性に期待
- 証券会社と銀行の違いと協働を理解
- 証券会社の将来性と可能性を理解【本記事で解説済】
- 証券会社に就職するメリットとデメリット
【就職へのSTEP③】金融商品の基礎知識をつける
- 株式の基礎知識をつける
- 債券の基礎知識をつける
- 投資信託の基礎知識をつける
- 「証券外務員一種」の攻略法を理解
【就職へのSTEP④】証券会社への就職活動開始!
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